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出産を機に、自分自身が「育ちなおす」。わが子とともに成長する私のフィールド

 「子どもを産んで自分自身が"リセット"された気持ちになったんです。子どもと向き合ううちに自分自身の内面やこれまでの生き方を振り返るようになり、もう一度自分で自分を"育てなおす"ことができないかなって。それが、『森のようちえん』だったんです」

 

 産まれて2カ月のお子さんを抱きながらそう話す園田智子さんは、2015年から、美濃加茂市で、森をフィールドとして子どもが自然と共に成長する「森のようちえん 自然育児 こどもの庭」を運営している。彼女の話す言葉一つひとつから、子育てをしながら自分自身も成長する、強く、優しい女性さが溢れ出していた。

 都市部では待機児童問題が叫ばれてる中、美濃加茂の自然に包まれ、大人も子どもも共に学び、感じ、生きる力を身につけるための場所を立ち上げた、園田さんの活動について聞いた。

 

Q.なぜ「森のようちえん」をつくろうと思ったのですか?

 私が「森のようちえん」に出会ったのは、1番上の娘が2歳半のときで、体験会に参加したんです。2月くらいの冬の森で、落ち葉がたくさん落ちているところにガサガサと娘が入っていったんです。道から外れたので、「戻っておいで」と言おうと思ったら、スタッフさんから「見守ってて」と言われたのを覚えています。

 そのままスイッチが入ったように生き生きと遊んでいる娘の姿を見て、こんな保育がしたいなって、この子の生きる上での素地づくりになるような活動がしたいなと思ったんです。当時、自分の暮らす場所の近くには「森のようちえん」がなかったので、だったら自分で立ち上げようと思いました。

 

  森のようちえんの起源はデンマーク。一人のお母さんが立ち上げた。

 

Q. どのように立ち上げたのですか?

 最初は自分と娘だけで始めて、最初の1年はずっと二人でした。親子のお散歩会を週2回開いて、森のようちえんについて伝え続けていたら、口コミで広がっていき、2年目には12名になりました。普通の幼稚園とは違って運営はお母さんたちがやるのですが、2年目からはやる決意をしてくれたお母さんたちと一緒に活動を始めています。

 

Q. 保育の経験や組織を立ち上げる経験などはあったのですか?

 何もなかったんです。なので旦那も驚いています。私は何かを立ち上げるとか、代表をやるというタイプではなかったので。

 子どもを産んで1年くらい普通のお母さんをしていたのですが、子どもを産んで仕事を辞めて毎日ふわふわしている感覚でした。ただただ過ぎる毎日で、自分の居場所がないと感じていて。出産でリセットされた気持ちで、自分自身が「育ちなおしたい」と思った時に、「森のようちえん」ならそれができるなと思いました。そこから今までの自分とは違う人生になりました。

Q. 「森のようちえん」は、生きる力を育てると聞きました。「生きる力」とはどんことなのでしょうか?

 「森のようちえん」は園舎がないので、雨の日も風の日も厳しい環境でも森の中で遊びます。当然大人も一緒に過ごします。自然環境の変化は私たちではどうすることもできませんが、その中で考え、適応させていくんですね。

 遊具もないので、遊びも自分たちで考えて過ごすんです。その中で想像力も培われます。例えば、森の中に落ちている木の棒や葉っぱを何かに見立てて遊ぼうとすると、相手にその遊び方についてたくさん説明しなければいけないですよね。それでコミュニケーション能力も身に付いていくんですよね。こういうところから、これから生きるために必要な力が身についていくと思っています。

Q. 子どもたちからはどのような変化を感じますか?

 

 子どもたちは、虫やトカゲを捕まえて遊んだりしています。そんなお兄さんやお姉さんに憧れ、入園したばかりの子どもたちも捕まえようとするのですが、最初はうまく捕れないんですね。教えてもらったり真似をしたりしてできるようになることが増えていくことを子どもたちは経験しています。

 たとえば、輪に入れなかった子どもがいても大人が必要以上に関与しないので、その子自身が様々な感情を味わいながらも、自分の力で人との関わり方を学び、仲間との関係を築いていく姿は、周りの大人も人としての在り方を考えさせられます。

 それと、子どもたちは木陰の涼しさや冬の日向の温かさを心からありがたがったり、ふいに吹いた心地よい風に嬉しそうに目を細めたり、冬いちごの実りに心躍らせたり。

 森という人工的な刺激が少ない環境にいる子どもたちをみていると、とても繊細な感性をもっているなと感じます。ゲームのような与えられた刺激ではなく、小さなことに喜びをたくさん見つけられる能力が、子どもたちにはあるんじゃないかなと思います。大人もそれに気づかされる、子どもの姿をみてはっとさせられることがたくさんあります。

Q. 保護者の方の変化はありましたか?

 自分の子どものいいところも悪いところも間近で見れるんです。ちょっとした喧嘩だったり、時には仲間外れにしたり。やるほうもやられるほうも経験するので心がざわついたりするんですが、大人が大人の価値観で介入しないことを原則にしているので、その状況を目の当たりにしながらどちらの気持ちも理解しようとするんですよね。親もたくさんの人と関わりながら子育てする分、視野が広くなる気がします。

 

 それと、お母さんたちも園の運営に関するいろんな仕事をするんです。保育はもちろん、会計や事務もお母さんたちも関わります。そうすると家事がなかなか進まなくて、家が散らかってる。なんてお母さんも多いです。なのでお父さんも理解してくれないとできないんですよね。どんな子育てをしたいか?を夫婦で価値観を擦り合わせ、協力し合って子育てしていく。という意識が生まれていると思います。

 

Q. これからどのようにしていきたいですか?

 今は園児が17名なのですが、少人数で子どもひとりひとりの価値観に寄り添っていくということを大事にしています。大人が枠組みをつくることもありますが、これからも子どもの気持ちを大事にしていきたいと思っていますし、先生と子どもではなく、一人の人と人という関係性が大事にしていきたいと思います。

 現在は、3〜6歳を対象とした保育を中心にやっているのですが、それ以下の子どもを持つ親子を対象としたお散歩会をしています。

 赤ちゃんや幼い子どもを連れた親子が森の中で集って、お母さんが手仕事や作業している中で子どもたちが遊んでいるような、生活しているような場が創れたらいいなと思っています。

 

 

【プロフィール】

園田智子さん/「森のようちえん 自然育児こどもの庭」代表理事、保育士、三児の母

2015年に園舎のない「森のようちえん」を立ち上げる。豊かな自然に包まれ、大人も子どもも共に学び、感じ、「生きる力」を身につける活動を行っている。活動を通じて、大きな家族のような安心できる子育てコミュニティ創りを目指している。

【インフォメーション】

森のようちえん 自然育児 こどもの庭

⚫︎活動場所 美濃加茂市内、可児市内、御嵩町内の森や里山
⚫︎活動日時(予定)
ようちえん 9:30~14:00 週4日 月、火、水、木曜日(年長の3学期は週5日)親子の会 10:30~13:00 火曜日開催(4)
●問い合わせ:yao2koniwa@gmail.com

https://kodomoniwa.exblog.jp/