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自然に囲まれた三和との出会い。そして新たに始まる古民家カフェで実現したい夢。

「みのかもな人々」コーナーでは、美濃加茂市へ移住やUターンなどでやってきた人、美濃加茂市内でも北部(三和・伊深など)エリアに移住された人で、手仕事や暮らしづくり、農園や独自のユニークな取り組みに従事している人たちを順番に紹介していきます。

第1回目は、7年前に岐阜市から移住し、「みのかも文化の森」という施設内でカフェ「bee café(ビー カフェ)」を運営している都竹(つづく)祐樹さん・ひろみさんご夫婦を紹介いたします。



Photo:「©日本仕事百貨」提供

「父と一緒にお店をやりたい、という夢がありました。」

という祐樹さんは、一流ホテルのシェフを続けてこられたお父さんが独立してお店を始めたのを機に、仕事を辞め合流。しばらく一緒に働いていました。

やがて「独立」ということを考え場所を探し初めていたときに、妻のひろみさんの実家がある美濃加茂市の施設「文化の森(みのかも市民ミュージアム内)」の「カフェ運営者募集」の存在を知った。

Photo:「©日本仕事百貨」提供

 

「最初は正直、人の入りがあるのか不安なところもありました。でも、まずやってみようと応募して。家賃も安く設備も整っていたので、はじめてやる僕らには負担が少なく助かりました」

とはいえ、はじめの1年は大変なことも多かったという。

「秋〜冬にかけてのオープンだったので、施設の入館者数が減る時期と重なっちゃって。最初の半年間は、施設のスタッフの皆さんにも心配をかけていましたよ」

平日は施設を訪れるお客さん自体の数が少なかったり、値段設定が難しかったり。厨房スペースに限りがあり設備を追加できないこともあり、やりたいことが増えても融通が利かない面もあった。

そうしたなかでも、「ここだからできること」に取り組んできた。 たとえば、施設の学芸員さんたちと、オリジナルの企画展がある度に、テーマにちなんだ限定メニューを考案しているという。

Photo:「みのかも取材日記」

 

「期間限定のオリジナルメニューを楽しみに来てくれる人も多かったですね。施設の方とコミュニケーションし合えたことで、施設内で採れる桑の実や栗も自由に使わせてもらったりして。アイデアが広がったし、形にしやすくなりました」

来店されるお客さんの間から、徐々にクチコミが広がっていった。

アルバイトで一緒にはたらいているスタッフさん達には、「お客さんと話すことを大事にしてね」、と伝えているそうで、「文化の森」施設の雰囲気とマッチした満足度の高い心地の良い空間が育まれている。

今では、顔見知りが増え、初めて訪れた人にとっても会話に入りやすい雰囲気で、利用者同士による繋がりが広がっているるそうだ。

「父は料理が得意だけど、僕は『場づくり(が得意なの)』かなぁ、って思うんですよ」

三和(みわ)との出会い

お店を続けて6年が過ぎようとしている。2度目の更新を意識し始めた頃には、自信とともに「自分たちの店を持ちたい」という思いも深まっていた。

ここでの経験を活かす次の場として、祐樹さんたちが出会ったのが、三和(みわ)という地域。美濃加茂市の中でも北部に位置しており自然や山に囲まれているところだ。

都竹さんご家族は、三和に2年前(2016年・春)に移住することができた。

生まれたばかりのお子さん含め、現在4人のお子さんと暮らす都竹さんご夫妻。「アパート暮らし」ではなく「家」に住みたい。せっかくなら「住居兼店舗が良いのでは?」という思いが高まり、それは「実現したい夢」になっていった。

お店に来るいろんな人達にその夢を話したところ、市の職員が情報をキャッチ。都竹さん達を三和へ連れて行きました。美濃加茂市出身の妻 ひろみさんにとっても三和は訪れたことのない地域でした。

「僕時代がそうなんですけど、新しい民家と古い民家だったら、多分古い民家を選んでいます。そっちの方がカッコいいなと思う。」

レトロで愛らしいワーゲンバス(フォルクスワーゲン)を愛車として運転する都竹さんらしい、志向性と時を経たチカラをもつモノへの愛着が伝わってきます。

「住宅兼店舗」となるような古民家を念頭に、いくつか候補の外観を見て巡った結果、気にいった家と出会うことができました。「三和(みわ)まちづくり協議会」の空き家部会リーダーを中心とする地域のみなさんの協力で、大家さんとの手続きもスムーズに進み、無事に気に入った古民家をお借りする運びとなりました。

まちづくり協議会の企画で「DIY(=Do It Yourself)ワークショップ」もおこなわれ、地域の皆さんやDIYに興味を持つ市外の人たちとともに改修でき、完成したのは春。子どもさんの小学校入学式前に無事引越しすることができました。

2016年1月31日(日)撮影

 

現在「小規模特認校」として他地区からの入学も受け容れている三和小学校。その年は都竹さんのお子さんの入学で、小学校に入学する子どもが増え、まちの皆さんも本当に喜んでくれたそう。

住んでみていかがですか?

「田舎やなぁと思いました。でも、不便ではないですね。蛍が出るほど川もきれいだし。朝も気持ちいい。子どもたちものびのび過ごしているみたいです」

Photo:「©日本仕事百貨」提供

 

妻のひろみさんは、地域で暮らしていくなかで、まちの人との関わりを大事に考えていると話す。

カフェを営業していると土日に休むことは難しいけれど、二人は小学校のPTAや自治会に、祐樹さんは消防団に参加している。

まちへの活動参加を機に、まちの人も声をかけてくれるようになって、地元の農家さんが自慢の食材の話をしてくれたり、なかにはカフェに足を運んでくれるようになった人もいるとか。

「そういうのがうれしいですね。どんな人か知らないうちは、まちの人も自分たちも不安です。まずは、会話を重ねていくことで、まちに溶けこんでいくことが必要なのかな」

お二人の話を聞いていると、何よりも「会話」の大切さを感じる。

 昨年冬に第4子が生まれ、小学校・学童に通う2人のお子さん、保育園に預けた子どもと0歳の赤ちゃんをカフェの合間に送り迎えして過ごしている。

そして現在、さまざまな経緯を経て、現在の住居以外に新たな一戸建てと出会うことができ、未来へと繋がる「カフェ」のオープンに向け準備を進めている。

三和にカフェが生まれたら、子ども達にお店ではたらく親の姿を近くで見てもらうことができるだろう。

新しいお店をどんな場所にしていこうと考えているんだろう?

祐樹さんが答えてくれた。

「三和に拠点になるというか。喫茶店って生活の一部だと思うんです。そこにお店をひらくことで、一人で来ても誰かと会話できたり、楽しい時間を過ごしてもらえたらいいなと思います。車に乗れないような年配の方も立ち寄れるように。そこに一人で来ても、知り合いに出会えたりと。人が動くことでまちが少しずつ変わるような場所にしていきたいですね」

「(欲しい野菜・作物を)言ってくれれば何でも作ってやるよ」と言ってくれる農家さんが地域内から現れた。
都竹さん自身が手書きでしたためたお店の図面アイデアを丁寧に図面におこしてくださる建築家に出会うことができた。地元の工務店さんに工事をお願いすることができたこともあるからか、工務店さんも意気に感じ熱心に工事に取り組んでくださっている。

現在は、駐車場を整備中。まちづくり協議会を中心に、地域の皆さんが一緒になって整地作業などを手伝ってくれている。軽ダンプに乗った先輩たちが沢山集まってくれて瓦礫を運び出してくれた。庭木の手入れや器づくりをしている地域の皆さんからの提案もいただいている。 

2018年5月20日(日)撮影

 

「ここにお店を構え、やっていけるのか?」と心配してくださる人たちも沢山居るようです。

オリジナルメニュー開発や、「駄菓子の販売」など、地元の子ども達が楽しんでくれることも考えているそうで、オープンしたらまた改めて紹介したい。

9月には「夢が膨らむ」 新たなスペースが、三和(みわ)に生まれます。

どんな時間を訪れた人に過ごして欲しいのだろう?

-「みのかも時間」をテーマに取材していますが、お二人の新しい場所(=カフェ)はどんな時間を過ごせる場所になるのでしょうか?

「時間を忘れるような空間になりたい。ここ(三和)は自然が多い。何も考えなくて良い時間。三和ならそういった時間を味わってもらえると思う。皆が笑顔になれるような場所になれたらと思う。」

関わる人、オープンを心待ちにしてくださっている人たちが笑顔になる場所、これからが楽しみです。

※取材時点(2018年4月半ば)、都竹さんご夫妻が運営している「bee café」のスペースを新たに運営する運営者を募集しているところでした。(広報みのかも 4月号 掲載)  
「僕のように、お店を新たに出したいと思っている人の、チャレンジ・経験の場になってもらえると良いなと思っている」と、まだ見ぬ次の担い手候補にエールを送っている笑顔が印象的でした。

記事・素材協力:「©︎日本仕事百貨」

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