ものづくりを通して森林の魅力を伝える。
県道山之上古井線を北に向かって車を走らせると「みのかも健康の森」が見えてくる。そこは128ヘクタールの森林公園であり、美濃加茂市の北部にある山之上町、伊深町、三和町の境にある高木山と富士山の麓に所在している。
園内は、ヤマザクラやヤマツツジなど、50種類以上 約4万7千本の花木が季節を彩り、森林浴や林内散策が楽しめ、「777段の階段」の先にある「展望台」(よろこびの砦)からの眺めは一見の価値がある。
またツリートップアドベンチャー、フィールドアスレチック、バーベキュー広場 、パターゴルフ場などの施設も整備されており、家族や友人と一日楽しく過ごせる魅力あふれる森となっている。
今回、芝生が広がるエリアにある管理棟で、山路今日子さんにお話を聞くことができた。
みのかも健康の森(管理棟)
「転職のきっかけになった理由のひとつは、地元名古屋での宅地開発でした」。
山路さんの実家の目の前に広がっていた森もその対象となり、開発が進んでいく様子を目の当たりにした。子どもの時によく家族で山歩きに行った思い出も甦り、目の前の自然が失われていくことに違和感を覚えるようになったそうだ。
「そんなタイミングで、岐阜県立森林文化アカデミーのことを知りました。特別、森や木のことに詳しい訳ではありませんでしたが、漠然と森林のことを伝えていく仕事をしたいなと思ったんです」。
思いきって10年ほど勤めた医療用装具メーカーを退職し、岐阜県立森林文化アカデミーに入学するため、岐阜県美濃加茂市に移住した。
「たまたま学校から少し離れた美濃加茂市の物件も紹介を受けて見に行ってみたんです。里山風景が残っているような場所で、のどかな雰囲気に惹かれ、暮らし始めました」。
森林のことを伝えるためには、知識だけではなく技術も必要だと思い、具体的な技術を身につければそれが武器になると考え木工を専攻したそうだ。
「木に触れたり、何かを作ったり、ただ単純に楽しんでもらうところから、森林に興味を持ってもらえたらいいなと思ってます」。
アカデミーでは、約70種類もの樹木の特徴を覚えたり、木工道具の扱い方を学んだ。木材としての木は樹種によって見た目だけでなく硬さや重さ、触り心地や香りも異なり、加工の仕方や使う場面を木に合わせて変えることもある。
普段の生活でも木々を見る目が変わったことで、見える景色も変わった。この面白さや感覚をもっと多くの人に伝えられたらという思いが強くなっていった山路さん。
可茂森林組合が、木工ができる人材を探しているということを聞いたのは、そんな時だった。可茂森林組合の事業区域である美濃加茂市が、里山千年構想を掲げ、里山の整備と活用に力を入れていたことも後押しとなり、就職。
「里山を大切にしているこのまちなら、この仕事を通して、「森林や里山の価値や魅力、関わる楽しさ」を多くの人に伝えていけるような気がします」。
【プロフィール】
山路今日子さん/可茂森林組合 職員
名古屋市出身、美濃加茂市在住。
社会人を経て、岐阜県立森林文化アカデミーに入学(森と木のクリエーター科木工専攻)。
2019年4月から、可茂森林組合職員として勤務。
みのかも健康の森(可茂森林組合が指定管理者)で、森林整備に関わる測量業務、みのかも健康の森でのイベント企画・運営、木工講座の講師、木工製品の製作等に従事している。
【インフォメーション】
みのかも健康の森
電話番号:0574-29-1108
所在地 岐阜県美濃加茂市山之上町7559番地
入園料 無料(食堂あり)
駐車場 300台(3カ所)
開 園 4月~9月 9時~17時、10月~3月 9時~16時
休園日 水曜日(休日の場合は翌平日)及び年末年始
ホームページ:https://www.mkkenkounomori.com/