この喫茶店をみんなで三和町を面白くしていく拠点に
自分たちが暮らす地域を、みんなでもっと面白くしたい。その熱い想いをかたちにし、夢を現実へと変えている夫婦がいる。
美濃加茂市の最北部、山林の緑に囲まれた過疎地域である三和町で「喫茶つみき」を営む都竹祐樹さんと広美さん。
料理人の父親に触発されて、自身も料理の道を歩んできた祐樹さん。2012年、応募した美濃加茂市の公募に選ばれ、二人は市民文化施設「みのかも文化の森」にあるカフェの運営をスタートした。
「設備も整い、賃料も安くて、何よりたくさんのお客さんと関わりを深められて。飲食店経営の経験がなかった自分たちにとって、本当にありがたいステップアップの場でした」。
4年目を迎えた頃、4人の子どもたちと一緒に住める古民家を探していると、市の職員が物件を紹介してくれた。一目で気に入り、長男の小学校入学に合わせてすぐに移住する。それが、三和町だった。
「当時、小学校には全校生徒が20人くらいで、長男の同級生も1人だけ。そんな地域に一気に4人も子どもが増えるからって、まちの人たちがすごく歓迎してくれたんだよね」。
「引っ越したときにみんなが食事会を開いてくれて。息子の同級生のおじいちゃんが嬉しそうに一升瓶持ってさ、『よく来てくれた』って俺にお酒を注いでくれたんだよな」。
それまで全く知らなかった三和町が、〝自分たちのまち〞になっていった。
「迷ったら、やる方を選ぶんです」。
自治会や消防団にも参加し、積極的に地域の中に飛び込んだ。やがて、別の古民家を借りて念願の喫茶店が始められることになると、多くの人が改装を手伝ってくれた。
カフェ運営の契約期間を終え、2018年にオープンしたこの店には、朝の新聞とコーヒーとモーニングが新しい習慣になった近所のおじいちゃん、評判のランチやアップルパイを求めて遠方から訪れる学生や若い女性、二人と同世代の地域の大人たちなどが集い、笑う、にぎやかな光景が広がる。
2020年には小学校の児童の父親や母親を中心に「三和オリーブクラブ」を結成。みんなで空き地を耕してオリーブを植樹し、畑にサツマイモを植えて芋掘り大会を開き、さらにヤギ2頭を飼育して子ヤギの出産にも立ち会った。
「いろいろ失敗してもいい。みんなで話し合って、やってみること。それが大切なんです」。
最近は三和町産の米で作るポン菓子を商品化し、店の中に駄菓子屋も作った。
「でもまだ、これから」と笑う二人。
彼らはこよなく愛し育んでいるのだ。そのタフな毎日を、三和町を、人を繋ぐこの喫茶店を。
【プロフィール】
都竹祐樹さん・広美さんご夫婦/カフェ運営者
岐阜県各務原市出身、美濃加茂市在住。
市内最北部の山間部で古民家カフェを運営。
三和町在住や三和に関わる30~40代で三和オリーブクラブを結成し、三和町のまちづくりに取り組んでいる。
喫茶つみき
美濃加茂市三和町川浦1503-4
9:00~16:00
日曜・祝日定休(臨時休業あり)
TEL.0574-50-1330
Instagram:@tsuzukusan
ホームページ:喫茶つみき (amebaownd.com)
※当記事は、2021年11月14日作成『《TOFU magazine 旅する岐阜 20》/【美濃加茂市】喫茶つみき』より記事作成者から承諾を取り引用しております。
※2018年5月、喫茶つみきオープン直前の頃の記事「自然に囲まれた三和との出会い。そして新たに始まる古民家カフェで実現したい夢。」はこちら